「 May I trust you? 」(空中散歩)
コピ本/A5/32P/表紙特殊紙使用一色刷り/¥250
原作終了一巻後。ほのぼのらぶらぶ風味を目指しました。
久々、へたれらしいへたれなハウルです(笑
「ねぇちょっと、ソフィー! あんたは一体どれだけの間、僕のことを放っておけば気が済むの、ねぇ? 聞いてたら今日あんたがモーガンの名を出したのは三十三回! それに対して僕の名前を呼んでくれたのはたった二回だよ、二回! それにしたって、『ハウル、さっさと起きて! 朝食抜きにするわよ!』
なんて愛想の欠片もない起こし方に、『ハウル、そんな所に服を脱ぎ散らかさないで!』の二回なんだよ!ねぇソフィー、あんた本当に僕のこと愛してるのっ?」
唐突に、ハウルの爆発はやって来た。
けれどそれは、マイケルやカルシファーが危惧していた、緑のねばねばというものではなく、文字通り感情の爆発といった類のものではあったけれど。だからといって、こちらの方がマシかと言えばそうではない。癇癪を起こしたハウルは、結局ねばねばを出すのだから―――つまり、行き着く所は一緒ということになる。
居間でいつものように課題に取り組んでいたマイケルは「ついに来たか!」と逃げるタイミングを見計らい、モーガンのおしめを取り替えたばかりだったソフィーは、いきなりなハウルの叫びにただ目を丸くしていた。
「あんた、何よいきなり……朝からソファーの上でぼおっとしてるかと思ったら、あたしが呼んだ回数なんて数えてたの?」
呆れてものも言えないと顔に書いてあるソフィーを目の前に、つかつかと近寄ってきたハウルは、端整な顔立ちを目一杯歪めながら叫びを上げた。
「久々の休日だっていうのに、最愛の奥さんは息子にばっかかまけて、ちっとも構ってくれやしないからね! それぐらいしかすることがなかったんだ」
「だったら庭の草むしりでもしてくれればいいのに」
―――あんたって本当に役に立たないわね!
抱き上げたモーガンをあやしながら言ったソフィーの台詞には、マイケルも十分頷きたいところであった。洗濯から掃除から、ソフィーが言った草むしりまで、やることはたくさんあるというのに。そんなことはちっともやらずに、朝食を食べ終えてからずっと、ソファーの上でごろごろしているだけなのだから、この魔法使いは!
けれどそんな当然の理屈も、通じないのがハウルというものなのかもしれない。
「あぁ、ソフィー! あんたって、言うにことかいてそれなのかい? よりにもよって草むしり? たまの休日ぐらい、奥さんとのんびりできるかと思って毎日の仕事をがんばってるっていうのに! あんたはモーガンモーガンそればっかりで、旦那には草むしりでもしてればいいって、あぁ!」
「ちょっとハウル、近くでそんな大声上げないでよ。モーガンがびっくりするじゃない」
「ほら、あんたはまたモーガンだ!」
すかさず飛んできた言葉に、ソフィーは隠そうともせずに大きなため息を一つ、はあ、とついてしまった。横抱きにしたモーガンは、汚れたおしめを換えてもらって気分がいいのか、ばたばたと手足を動かしている。あぁ、あんたのお父さんは、何て仕方がないんでしょうね!
「仕方がないでしょう、ハウル。モーガンはまだ赤ちゃんなのよ。あんたまでそんな、子供みたいな我侭言わないでちょうだい! お願いだから一人で静かにしていてよ」
役に立ってとまでは言わないから、という、当てにもされていないソフィーの台詞に、それはそれで傷ついたのか、ハウルはそのままずるずると床に座り込んでしまった。
ソフィーとハウルがそれぞれ目をまん丸にさせる中、部屋に響くのは暗い声。
「あぁ……最愛の奥さんに見捨てられるだなんて。僕はなんて可哀想な旦那なんだろう」
「ちょっ……だれも見捨ててなんていないでしょうっ!?」
こんな感じで騒がしく進んでいきます。あぷらしいハウルです(笑
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