「 EROTICA HEAVEN 」(空中散歩)
オフセ/A5/52P/表紙FC/¥500
spring@rollのハルマキユバさんとの合同裏本。
あぷの駄文はオマケで、ユバさんの素敵★裏漫画堪能して下さい。
ユバさん漫画

あぷ駄文
Now,to Heaven!
「ねぇ君、初めてだって?」
かけられた言葉の意味がわからず、ソフィーはこれ以上無いというほど見開いた目で、目の前の男を見つめ続けた。
初めて、何が?
何が、初めてだというのだろうか?
「大丈夫。優しくしてあげるからさ」
何事も、邪険にされるよりは優しくされた方がいいけれど。薄ぼんやりする頭の端っこでそんなことを考えるソフィーは、今もしかして自分は、とてつもなく混乱しているのではないだろうかと思った。多分、いや絶対。
「君みたいな可愛い子の初めての客だなんて、ついてるな、俺は」
ぴゅうっと小さく口笛をふいて、伸ばされた腕が胸元のボタンにかかり、ソフィーは小さく「…あっ」と声を上げた。
あぁ、いつから。
いつから、こんなことになってしまったのだろう?
「あんたの顔なんて、もう二度と見たくないね。どこでもいいから、好きな所へ行けばいいだろうっ?」
それはいつもの喧嘩だったかもしれないけれど、自分はハウル
のあの台詞に、いつもの倍近くは傷ついた、とソフィーは思った。
「肝心なことは何一つ言わないくせに」
言わなくてもいいようなことばかり言うんだから!
喧嘩の原因なんて、もうその時にはわからなかった。すっかり頭の中から抜け出てしまった。けれどそこまで言われて、ソフィーの中でも何かが切れた。
「えぇ、言われなくても出て行くわよ!」
そう怒鳴って、そのまま身一つで飛び出てやった。
いつもの光景だった。いつもの。
けれど、その『いつも』と違ったのは、繋がっていた扉の先、キングズベリーで真っ先に向かったサリマンの屋敷で、サリマンとレティーが揃って外出をしていたこと。いくら姉だからとはいえ、妹が不在の屋敷に入るわけにもいかず、かといって行く宛もなく、ついでに言えば財布も無く、ソフィーはとぼとぼと辺りを彷徨うことになった。
「……これだから長女なんて」
何をやっても上手くいかない。喧嘩をしただけで気分は最悪だったというのに、もうすぐ暗くなるこの時間、一人で王都をうろつく気分といったら、惨めなことこの上もなかった。
つい先日まで、辺りには蝉の鳴き声がうるさいほどには響き渡っていたというのに、あっという間にそれも聞こえなくなり、季節は秋になっていた。沈みかける夕日は美しかったが、今はそれもソフィーには何の慰めにもならなかった。むしろ、郷愁を誘うようなその赤い色が、早く家に帰れと言っているようで、どうにも気分が悪かった。普段であれば素直に美しいと思えるような光景も、こんな時ばかりは全て神経を逆撫でするものにしかならないのだから。
「あぁ、全く!」
小声で悪態をついても、何の気分転換にもならず、余計にむしゃくしゃするだけだった。小石を蹴飛ばしながらソフィーは歩く。明らかに家路に着こうとしている人々の姿が、羨ましくて仕方がなかった。
「べつに、ハウルに会いたいからじゃないのよ」
自分自身に、まるで言い訳のようにそう呟く自分を、ソフィーは自覚してはいなかった。
「ずるいじゃないの。確かにあそこはハウルの作った城かもしれないけど、あたしの家でもあるのに。なのに、いざとなったら人を追い出すだなんて」
自分は住み慣れた家から、テリトリーから出たくないってことかしら。そう考えてソフィーはふんっと笑った。それは全く、弱虫なハウルらしいことじゃないの! でもあたしは違うわ。出てけと言われたら出て行ってやるし、泣いて許しを請うようなことなんて絶対にしないんだから。もっともそれをしようにも、何が原因だったのかなんて、ちっとも覚えてはいないんだけど。
心の中でぶつぶつと呟きながら、ソフィーは行く宛もないまま歩を進めていた。家へと向かう人々の中で、自分もどこかへ行かなければならないような焦燥感ばかりを覚え、けれどどこへ行けばいいのかなんてわからない。
「……せめて財布をひっつかんでくれば良かったわ」
花屋で稼いだ金なのだから、自分が持ってくるだけの理由はあったのに。城を飛び出した時には怒りだけに頭中が占められて、とてもその先のことなんて考えもしなかった。今度は絶対に財布だけは忘れないようにしよう、と心に誓ったソフィーは、自分が城へ戻る未来を絶対的に想定していることに気づき、むっと顔を歪めた。あんな奴の居る所に、当然のように帰ることを考えているだなんて。けれどソフィーが帰れる場所なんてあそこしかない
わけで、それを思えば当然のことなのだけれど。それでも気分は複雑だった。まぁ、ハウルが泣いて謝ってくるなら、帰ってあげてもいいけどね。
「でも」
あんな不正直なハウルが、自分から謝ってきたりするものだろうか? 今まで何度も喧嘩をして、その度にどうやって仲直りをしてきたのか、ソフィーはよく覚えていない。子供同士の喧嘩のように、わかりやすく「ごめんなさい」をした覚えはなかった。何となく顔を合わせて、何となく日常が始まって、気がつけば喧嘩をしていたことなんて忘れ、忘れている内にまた新たな喧嘩が始まり……日々はその繰り返しだった。それが今回に限って、ハウルが謝ってくるだなんて―――
「ありえないわね」
何たって、あの不正直者のことだもの!
ふんっと息を吐いて、ソフィーは考えに耽って遅くなっていた足の速度を速めた。ならいいわ。胸中で呟く。せいぜいここで時間を潰して、普段じゃ考えられないような時間に帰ってやろう。
「少しは心配すればいいのよ」
ユバさんの素敵漫画を見たいがために裏本出しました。
あぷの駄文は…えぇっと、鬼畜エロなのでご注意を(^^;)
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