LOVELOVELOVELOVE大嫌い

(表紙画像はありません。文字オンリー)
「 LOVELOVELOVELOVE大嫌い 」(05年冬コミ)
オフ本/A5/134P/表紙一色刷り/¥1000
ハウル二次をやりだしてから、ずっとずっと出したかった本なのでやっと出せて感無量。
シリアス感動長編ラブストーリー目指しました。○○○○物です。ネタばれなので伏字(笑
「もっと甘いモノかと思ってたの。だって想像しかできなかったから。夢見ていたわけではないけど、それでもちょっと考えるぐらいは自由でしょう? もっと甘くて、砂糖菓子みたいなものかと思ってた。……恋人って何なのかしらね」
 あんたの吐息が一番甘いよと、言いかけて止めた。どんな言葉も声にはならなかった。してはいけないような、それはまるで神聖な儀式のような静寂さを纏っていたから。
 声に出せば形にすれば、それは跡形も無く消え失せてしまいそうだった。飽和して、後は自然の摂理に従って溶けてなくなるだけ。闇が怖かった。そこには何も存在してはいなかった。してはいけなかったかのように。
「……そんなこと、今は考えなくていいから」
 僕のことだけ見ててよと言うと、あんたは全く勝手なんだから、子供みたいと笑われた。どんなことにでも、反応を返してくれたことが嬉しかった。今この時この時間この言葉で仕草で身体で、彼女に与えているのは自分だけだと思えるその幸福に酔い痴れた。
「莫迦だって、だれに言われたっていいんだ」
 意味の無いものは切り捨てた。
「どうしてよ。何でまたそんなこと言うの。わたしが言ったらどうするの?」
「あんたの言葉なら」
 そんなのは全部受け止めるから。
「―――愛してよ」
 髪の毛一本だって、それが貴方の息に染まれば世界は変わる。
 ねぇ、愛して。世界ごと包み込んで。


「そんなの、ただ逃げてるだけじゃないですか!」
 厳しい声音に、こんな声を出すこともあるんだと初めて知った。糾弾されるのも慣れている。彼の人生はそんなことばかりだった。今更一つや二つ増えたところで変わらない。
 ―――そうさ逃げてるさ。逃げるのことの何が悪い?
「確かに行っても、何もできないですけど……でも、何かが変わるかもしれないじゃないですか! 僕だって怖いです、あんなソフィーさんを見るのは嫌ですよ!」
 涙がこぼれて、マイケルは慌ててそれを袖で拭った。それでも、そんなものでは拭いきれないほどの涙の数だった。それをハウルは、どこか郷愁に似たものを感じながら眺めていた。
「でも……それでも、心配だからっ。だから―――ハウルさんにも、行って、ほしくて……僕は」
 嗚咽が混じって聞き取りにくい言葉は、しっかりとハウルの耳には届いていた。小鳥の囀りと涙を堪える震えとが混じって、ハウルは目を閉じた。何も見たくなかった。泣く弟子を見て、不愉快なのかそうでないのかわからない判別のつきようのない感情が湧き上がってくるのが邪魔だった。
「―――だから、の後、どうしてそこで僕の名前が出てくるのかわからないね」
 何の考えもなく言った言葉に、マイケルは傷ついたかのように息を飲んだ。目を閉じていても、そのぐらいは気配でわかる。
 徐々に嗚咽も止まり、それからしばらくの時間が経って、足音も立てずに居なくなったのかとハウルが思うようになって。
「ソフィーさんから、逃げるんですか」
 そこにいる少年は、弟子の瞳をしていなかった。


「仕事でいくら魔法を使ったって、あんたの喜ぶ顔なんて見れないじゃないか」
 自分は至極当然のことを言ったまでだというのに、ソフィーは何を言われたのかわからないような、まるで異国の言葉をいきなりかけられたかのような、そんなぽかんとした表情になった。自分と彼女の間に差があることはわかっていた。理解していた。けれどこんな時には、それをまじまじと形にされてしまったようで、少し辛かった。
「僕はあんたが喜んでくれるんなら何だってするつもりでいるんだよ。この程度の魔法を使って、それであんたが喜んでくれるのなら、それぐらいお安い御用さ」
 それをまたあんたは、魔力の無駄遣いと叱るのだろうか。以前の彼女なら。叱られたいと心底から思った。前のように、前のように。腰に手を当てながら説教をして、でも最後には困ったように笑って、でもありがとうと。
 そんな夢を見る自分は、ただ愚かなだけだとわかっている。子供ではないのだから。現実を見ろと頭の隅から声が響く。
 ソフィーは怒りはしなかった。そんなこと、きっと頭の片隅にも浮かばなかったに違いない。ただ戸惑いだけを顔に浮かべて、困ったようにハウルを見つめていた。
「……わたしが、喜ぶなら?」
「喜んでくれてないの、ソフィー?」


「ねぇソフィー、どうしてあんたはそうなの」
 切なげに呟きながら伸ばされたハウルの腕に、瞬間的にソフィーはぎゅっと目を瞑った。ハウルの顔が見ていられなかった。伸ばされた腕がゆっくりと頬を撫でていくのを、聞こえる荒い息遣いの中で感じていた。
「……何でそうやって拒絶するの、ねぇ」
 拒絶だなんてしたつもりなどは無かった。
 ハウルが何を言っているのかわからない。
「あんたはいつもそうだ。マイケルには嬉しそうに笑うくせに、僕には一度だってそんな風に笑いかけてくれたことなんかないじゃないか! 僕が嫌ならそう言えばいいんだ。そうしたらいくらだって離婚してやるのに! 何で言わないの、言ってくれないの、言わないだけであんたの態度はいつだって僕を拒絶してるのに、どうして何も言ってくれないの、ねぇ! 言葉だけいつも気にかけているようで、その実本当はそうじゃないなんて、そんな残酷なことは止めてくれ。僕はもうたくさんだ!」
 身動ぎもできずに、ソフィーは暗闇の世界でハウルの叫びを聞いていた。いつだって本当のことなんて言わない彼の、初めての心からの叫びを。
「あんたが男に抱きしめられてるとこなんて見たくない!」
全体的には多分シリアス? でも後半とかはラブラブな気もしなくもない。
読み応えだけはたっぷりあります。むしろそれしかないような気が(笑