おやすみはシーツの中で
A5/表紙FC/134P/¥1200
3人エロ本再録本。「H−Pack」「PURI*PURI」の2冊を再録。
書き下ろしは60P程。童話、メイド、お隣さんと色々な話が入っています。
「今日のレストランも、なかなかだっただろう?」
手を繋いで歩いていたハウルが、ご機嫌顔でそう尋ねて来た。今は『デート』の帰りで、二人で夕食を食べてきたばかりだったのだ。
「えぇ。夜景もキレイだったし、あのカクテル美味しかったわ」
「初めて飲んだやつだったけど、キレイだっただろう?」
あんたみたいにね、と。
さらりと自然にそう言われて、ソフィーは少し赤くなる。
―――こんなところは、少し、変わったのかもしれない。
以前のハウルは、ソフィーのことを可愛いと言ってくれることならあっても、キレイと言うことは無かった。キレイという言葉は、対等の女性として扱われているようで、嬉しいけれど恥ずかしい。まだ、慣れない。
「……あたしなんか可愛くないって、しょっちゅう言うくせに」
照れ隠しにこんなことを言ってしまう辺りが可愛くないのだと、わかっていても口は勝手に動いてしまうのだから仕方ないのだ。
「あぁそうだね。だってあんたって、僕に対していっつも憎まれ口や小言ばっかりでさぁ! やれ服を脱ぎ散らかすなだのそこで寝てると邪魔だのばっかり言ってくれるじゃないか」
「何よ、ホントのことじゃない。あんたってば家にいるとだらだらしてばっかりで……」
「でも」
早速始まったソフィーの小言を、ハウルは人差し指で封じた。
「―――そんなところが可愛いよ」
ちゅっと、額にキスをされた。
聞こえてきた可愛い音に、ソフィーはもう、顔を真っ赤にせずにはいられなかった。反則だと思う。そんな笑顔で、そんな幸せそうな顔で、そんなことを言うだなんて。
「……あたしは、あんたのことなんて嫌いよ」
「おや、それは残念だ」
ちっともそうは思っていない顔で、ハウルはくすくすと笑った。
(全部見透かされてるところがムカつくのよ!)
年の差があるから仕方ないとは思っても、それでも胸の中はむかむかとする。機嫌を治してねと言うように、頭を撫でるハウルの仕草は昔から何も変わらなくて、それでもその瞳はずいぶん甘くなったように……思うのは、ソフィーの気のせいなのかもしれないけれど。
繋いだ手を握り直して、ハウルは再び歩き始める。ソフィーに合わせて、歩調はゆっくりと。
いつまでもこんな風に。
(ハウルは、あたしに合わせて歩いてくれるのかしら)
それは確信に近い疑問だった。少し不思議に思えるような。
外見だけ見ればとにかく素敵で、中身を知って呆れても、それでもどうしてか魅力的なこんな人が、どうして自分の隣を歩いているのだろうかとソフィーは時たま不思議に思う。けれどハウルのいない日常なんて考えられなくて、きっとそれはうぬぼれではなく、ハウルにとってもそうだろうと思うから、この手を振りほどくことなんてきっとできない。したくもない。
でも。
あぁ、だけど。
「ソフィー?」
いきなり手を離したソフィーに、ハウルは驚いたように目を見開いた。どうしたのと、言葉ではなく視線で問いかけられる。
「え、あの」
自分にとっさの思いつきにソフィー自身も驚いていた。けれど、だけど、自然と身体は動いて。きっと多分、さっき飲んだカクテルの所為だ。弱くて甘いやつだったけど、ソフィーは元々アルコールには強くないから、それだけでもきっと頭は少し回ってしまって。
だから、ハウルの腕に抱きついたりできるのだ。
「……ソフィー?」
驚くハウルの顔が、恥ずかしくて、見れない。
「……こっちのが、恋人らしいでしょう?」